アジアの平和 2017 9 10
アメリカは、北朝鮮を核兵器保有国として認め、
日本は、核武装する。
もちろん、日本は、北朝鮮のように、
声高に核兵器保有を叫ぶ必要はありません。
むしろ、公式には「核兵器がない」と称している方が、
外交的には好都合だと思います。
(「プルトニウム239 2012 9 23」を参照)
(「歴史は繰り返す 2017 8 12」を参照)
これで、アジアの軍事的均衡は成り立ち、
「核兵器による平和」を確保できます。
ただし、北朝鮮がアメリカと対等の立場で交渉するために、
核兵器を開発しているならば、これで問題は解決しますが、
もし、北朝鮮の本当の目的が、
核兵器による朝鮮半島の統一だったら、
これでは解決しません。
そうなると、韓国も核武装する必要がありますが、
韓国には、核兵器を開発する技術があるか不明です。
現実的には、韓国に、
アメリカの戦術核を配備するのが妥当だと思います。
後世の歴史家は、こう記述するでしょう。
北朝鮮の核開発やミサイル開発は、
日本の軍事大国化を招いて終わった。
短期的には、核開発やミサイル開発で世界の注目を集めても、
長期的には、経済力と軍事力は、表裏一体の関係にあると証明された。
北朝鮮は、短期決戦で、何をやりたかったのか。
(参考)
ただし、北朝鮮は、韓国を占領すれば、
「経済力」と「労働力」を獲得するかもしれません。
その第一歩として、北朝鮮は、日本と韓国を離反させる工作をするはずです。
北朝鮮からみれば、日本と韓国が「同盟関係」では困るのです。
そういうわけで、韓国国内で反日運動が盛り上がるように工作するでしょう。
さらに、政治的には、在韓米軍の撤退が必要でしょう。
朝鮮戦争の休戦によって、中国の人民解放軍は撤退したのに、
「なぜ、米軍は、朝鮮半島に駐留しているのか」という理屈を世界に広めるでしょう。
そのために、韓国国内で反米運動が盛り上がるように工作する必要があります。
プルトニウム239 2012 9 23
書名 放射性物質の正体
著者 山田 克哉 PHPサイエンス・ワールド新書
この本から興味深いところを引用しましょう。
「原子炉級プルトニウムと兵器級プルトニウム」
プルトニウム239は、放射性元素でアルファ崩壊し、
その半減期は24000年であるので、
プルトニウムの半減期など全く気にせず、核燃料として使える。
ウラン235を核燃料に使った原子力発電所からは、
燃料交換のたびに使用済み核燃料が原子炉から取り出され、
それを再処理(化学処理)して、
プルトニウム239を摘出するが、
それは、100%プルトニウム239でなくて、
望むプルトニウム239は、65%しか含まれていない。
そして、これは「原子炉級プルトニウム」と言って、
「兵器級プルトニウム」と区別している。
「原子炉級プルトニウム」は、プルトニウム239の含有率が65%で、
他の不純物が早期爆発を起こしたりするので、
そのまま原子爆弾の材料にしても大きな効果は得られないが、
「兵器級プルトニウム」は、プルトニウム239の含有率が90%以上で、
これは、原子爆弾に、そのまま使える。
だから「兵器級」となる。
「兵器級プルトニウム」を直接「生産」できる原子炉には、
次の3種類がある。
1 高速増殖炉
2 黒鉛炉
3 重水炉
日本に高速増殖炉は二つある。
一つは「もんじゅ」と命名されたものであり、
もう一つが「常陽」である。
(中略)
日本には「原子炉級プルトニウム」が、
どんどん溜まっていっている。
プルトニウム239の半減期は24000年であるから、
「ウラン枯渇」を考慮すると、
溜まった「原子炉級プルトニウム」をそのまま放置しておく手はない。
また「原子炉級プルトニウム」をそのまま使うと、
未熟爆発などが起きて、その威力は激減するが、
一応、原子爆弾を作れないことはない。
また非常に厄介だが、
さらに化学処理すれば、高濃度のプルトニウム239を作れないこともない。
したがって、「原子炉級プルトニウム」であっても、
どんどん溜めていくと「日本は核兵器の準備をしているのか」などと、
IAEA(国際原子力機関)に疑いを持たれかねない。
(以上、引用)
メディアによるプルトニウムをめぐる記事は、
不思議と、わかりにくいものが多いと思います。
何回読んでも難解な文章が多いでしょう。
(わざわざ、わかりにくく書いているのかもしれません)
それに対して、この本では、
実に明解で、わかりやすく書いてあると思います。
ところで、時々、外国から、
「本当は、日本は、核兵器保有国である」と言われる理由が、
これで、よくわかったでしょう。
歴史は繰り返す 2017 8 12
アメリカ国内では、核ミサイル開発を続ける北朝鮮に対して、
主戦論が高まりつつありますが、
双方に思い違いがあるかもしれません。
アメリカでは、北朝鮮が、
アメリカ本土を射程内に収める大陸間弾道弾を完成させる前に、
予防的な戦争を検討すべきであるという意見が高まりつつあります。
一方、北朝鮮としては、
「中国モデル」を実践しているだけだという思いがあるでしょう。
2017年8月11日の東洋経済ONLINEでは、このような記事がありました。
国際ジャーナリストの高橋浩祐氏の記事です。
現在の北朝鮮は、1960年代の中国と似通っている。
当時の中国も、米ソ冷戦のはざまで、一心不乱に核ミサイル開発に邁進していた。
2004年に解禁されたCIAの秘密文書では、
1960年代の中国の核兵器開発が、アメリカ側の予測をはるかに上回る速度で進められ、
アメリカ側を驚かせていたことが明らかになっている。
国際ジャーナリストの古森義久氏は、
2004年10月25日付の産経新聞の記事の中で、
「中国としては、核兵器でアメリカ本土の一部やアジアのアメリカ軍拠点を攻撃できるようにしてあった方が、
アジアでのアメリカ軍の行動を抑止できるとの判断がある」と書いた。
上記の中国の状況は、今の北朝鮮と同じ状況ではないか。
現在の北朝鮮の主眼も、アメリカの軍事介入を阻止するため、
ワシントンやニューヨークに対して攻撃可能のICBMを必死に開発している。
だからこそ、北朝鮮情勢をめぐる緊張は、
たとえ米朝が直接交渉に乗り出しても続く。
なぜなら、北朝鮮には核ミサイル開発の凍結や放棄は選択肢としてありえないからだ。
アメリカが、いかに軍事的な圧力をかけようとも北朝鮮は屈しない。
1960年代の中国と同じだ。
(引用、以上)
確かに、1960年代の中国は貧しく、
人民は飢えに苦しんでいました。
にもかかわらず、毛沢東は核兵器開発を断行しました。
その後、ケ小平は、
「改革開放」路線を主導して、
中国発展の原動力となりました。
北朝鮮も、途中まで、中国と同じ道を歩むのでしょうが、
はたして、北朝鮮には、「ケ小平」が現れるでしょうか。